バブルと踊る。「ウォール街のランダム・ウォーカー」バートン・マルキール

2017年8月4日金曜日

投資ネタ



ウォール街のランダム・ウォーカー


今、名著の誉れ高い、バートン・マルキールの「ウォール街のランダム・ウォーカー(原著第10版)」を読んでいます。前回読んだのはいつの日か、という感じですが、途中まで読み、「凄くいいこと書いている気がする」と感じています。やはり名著と言われていることはあるんだろうなと思いました。


この本はまずバブルの歴史から始まります。オランダのチューリップバブルや、イギリスの南海バブル、日本の不動産バブル、最近のITバブルや米国のサブプライムローン。他にも大小あるバブルが取り上げられています。


で、この本の中に、

「株式投資によって堅実に富を増やすことは、そんなに難しくはないのだ。後の章で取り上げるように、幅広く分散された株式ポートフォリオを買ってじっと持っているだけで、長期平均的にはかなり高いリターンを享受することができる。ただ気をつけなければいけないのは、一夜にして大金持ちになれるかもしれないという投機の馬鹿騒ぎの中で、大切な財産を賭けたくなる誘惑に負けないことだ」(P119。下線はブログ管理人がつけました)

という文章があります。特に下線部はたった一行の言葉ですが、非常に教訓に満ちた言葉だと思いました。



誘惑に駆られる。


現在米国株は最高値圏にあります。「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」という言葉がありますが、今は正直、懐疑から楽観へと移行しているのではないかと少し感じています。楽観論が少しづつ台頭してきているというか。


楽観や幸福がはびこる相場環境では、例え「歴史的な水準に比べてPERが高い水準にある!」というようなことを言っても、「昔と今の時代は違うんだよ!将来的に今の高PERが標準になるよ」とか「経済の質が違うのだから違くて正解。上昇相場を逃す投資家。悲観乙www」などといわれるかもしれません。


また楽観的な相場状況では、雰囲気に流されてそれを受け入れてしまうかもしれません。ITバブル時の「ITは世界を変えるんだから、利益なんて今は関係ないんだよ」というように。


恥ずかしながら、先日AT&Tの株価が決算発表で跳ね上がったとき、私は「もっと買っとけばよかった!」と少し後悔しました。それに加え、「もっと新規資金を追加してAT&Tをポートフォリオの保有割合の上位にしよう!」ということも考えました。


まあまだ理性が残っていたようで、保有割合はなんとか目安である10%に抑えることができました。今の相場状況は、馬鹿みたいに株価が上昇するバブルのようなときではないと思いますが、今のような比較的、平時ですら私はちょっと心躍ってしまったので、正直本当にバブル時に手を出さないとは言い切れないような気がします。チューリープを買ってしまうかもしれません。まあ私以外にも行列はできるかもしれませんが。



理性的と思われる人も踊る。


意外にバブル相場で損をするのは少し投資をかじった人である可能性もあります。のんきな人はバブル相場が来たとき、すぐに飛び乗るかもしれませんが、少しかじったことのある人は、「いや怪しいちょっと待て。」と一旦は立ち止まる。しかしそれでも上がっていく株価を尻目に、「いやこれは意外にこの株高は正当化されるかもしれない?」と下手な理論を考えだし、恐る恐る手を出してみる。しかし手を出したのが遅かったので、最後のババを引いてさようならという流れです。のんきな人は最初に手を出していて、意外に儲かっているかもしれない。


バブルというのは、プロも踊りの輪に参加している。プロだから参加するのか、プロでも参加するのか、というのはわかりませんが。普通の人が「株で簡単に儲かるかもしれない」という甘美な誘惑を断ち切るのは、たやすいことではないような気がします。



過去なら分かるが、今または将来のバブルはわからない。


よく考えると、バブルで怖いのはバブル相場になっているとき相場に参加している人たちは、今がバブルだと気づいていないことだと思います。相場がはじけてようやくバブルだった、と気づくわけですが、参加しているときはただの上昇相場くらいにしか感じていないのかもしれません。


現在はバブルのようには感じないのですが、非常にわけのわからない、伝統的な考えでは理解し難い相場となっています。具体的には国債価格と株の高止まりです。伝統的な考えでは、この二つはトレードオフの関係にあると思うのですが、今はふたつとも高値圏で推移しています。マネーが溢れまくって行先がないからだと思いますが、今の状況をどう理解するのかというのも大事かなと思いました。


ちなみに元FRB議長のグリーンスパンさんは債券バブルの警鐘を鳴らしています。

グリーンスパン氏が警告ー株価ではなく債券バブルの破裂に用心を

こういう考えもあるのかと思いました。



ウォール街のランダム・ウォーカー


冒頭のウォール街のランダム・ウォーカーの文章の後にはこんな文章が書いています(P121)。


「そして同社が破綻したために、文字通り全財産をなくしてしまったのだ。こんな恐ろしい過ちを犯さない能力こそが、結局のところ自分の財産を守り、増やすための最も重要な条件と言えるのではなかろうか。学ぶべき教訓は単純だ。しかし、それを実践するのは容易ではない。」~バートン・マルキール~